数年前、軽い精神病患ってて(自分では世界で一番まともな人間だと信じてるアレ)浪費癖の酷い母親が数百万の借金こしらえた。
で、父親と弟を殺して自分も死ぬんだと暴れまわった。
借金取りとかももう誤魔化せなくなって、仕方なく当時23歳の自分が風俗で働く事になった。
履歴書と写真で合格し、いざ当日働こうとして最寄の駅からタクシーに乗った。
店の場所を告げると、初老の運転手が暫しの沈黙後、「そこには行きたくないなあ」。
風俗店が多い地域だから下品という意味かな、と思って黙ってたら、「見た所、今までそんな世界に関わった事のない人でしょ?
他のまともな場所で働きなさい」と言って、一応その店の前まで運転してくれた。
でも確かに店の前には、余り関わりたくない風貌の男女が集っていて、タクシーの中から見るだけで自分はビビッてしまった。
運転手さんは黙ってそのまま駅まで引き返し、「帰りなさい。もう風俗なんてやろうとしちゃダメだよ」。
タクシーの代金は要らないと言う。更になんと1万円札をくれた。
結局一旦辞めた事務の仕事をやり、地道に借金を返してる。(母親は親戚中の力を借りて病院にぶち込んだ)
あの時の運転手さんの事は一生忘れない。